▽牛にひかれて善光寺まいり。
『むかし、善光寺から東に十里、信濃の国小県郡に強欲で信心が薄く、善光寺に一度もお参りしたことのないお婆さんが住んでいました。
ある日、川で布をさらしていたところ、どこからか一頭の牛が現れ、角に布を引っ掛けて走り出します。そこで慌てたお婆さんは布おしさに取り戻そうと一生懸命に追い掛けました。そして気が付いてみるとそこは善光寺、牛の姿はなく、角に引っ掛けられたはずの布は如来の厨子の前にありました。実は、布をさらった牛は善光寺如来の化身だったのです。そのことに気付いたお婆さんは自分の不信心を悔い、善光寺如来に手を合わせ、以来信心深くなって善光寺にも度々参詣に訪れ、極楽往生を遂げたとのこと。』
|